のどの痛みのメカニズムは?原因と対処法を解説

はじめに

「のどの痛み」はさまざまな原因で起こりますが、内科で診るのどの痛みの多くは、風邪や扁桃炎などの上気道感染症に伴うものです。

ウイルスや細菌感染による炎症が原因となることがほとんどで、発熱や咳、鼻水といった症状を伴う場合が多くみられます。

一方で、内科では喉頭から声帯部を診察することができません。嗄声(声がれ)があり声帯の炎症や動きを直接診てほしい場合や、異物(例:魚の骨が刺さった)や外傷などでのどが痛い場合には、耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。

本記事では、内科で対応する「風邪や扁桃炎などの上気道感染症」によるのどの痛みを中心に、症状の特徴やセルフケア方法ついて解説していきます。

のどが痛くなるメカニズム

のどの痛みはいろいろな反応が重なり発生します。例えば、のどの粘膜が外からの刺激を受けると炎症が起こり、ヒリヒリとした痛みや腫れが出現します。炎症によって敏感になった粘膜は水や食べものを飲みこむなどの刺激でも痛みを感じるようになり、また粘膜が乾燥することでも痛みを感じるようになります。こうした刺激、炎症、乾燥が連鎖して、のどの痛みが生じます。

そもそものどの働きとは?

のどは主に「咽頭(いんとう)」と「喉頭(こうとう)」の2つの部分に分けられ、日常生活に欠かせない3つの重要な役割があります。

  • 呼吸
    口や鼻から取り込まれた空気を気管に送る役割
  • 嚥下(飲みこみ)
    食べものや飲みものを食道に運ぶ通路の役割
  • 発声
    発声をコントロールする役割

さらに、のどは異物の侵入を防ぐバリアとしても重要です。例えば、咳や飲みこみの反射によって、異物が気管に入るのを防ぎます。また、のどにはリンパ組織が集まっており、免疫機能を支える役割も果たしています。

のどが痛くなる原因は?

のどの痛みの原因となる炎症がおこるきっかけは、さまざまなものがあります。

【炎症の原因の例】

のどの酷使や、乾燥、刺激などの直接的な原因に心当たりがない場合、ウイルスや細菌による感染が背景にあることもあります。次に、のどの痛みを引き起こす病気について紹介します。

のどの痛みは病気のサイン?

のどの痛みは、私たちの体が何らかの異常を知らせるサインとして現れることがあります。のどの痛みを引き起こす主な病気のうち、ウイルスや細菌による感染が契機となるものを中心に内科でよく診る例を紹介します。

のどの痛みを引き起こす病気特徴
ウイルス性咽頭炎(かぜ症候群)いわゆる「かぜ」と言われるもので、ウイルスがのどに感染して炎症を起こします。のどの痛みのほか、発熱、鼻水、咳を伴うことが多いです。ほとんどの場合、自然に回復しますが、水分補給と安静が大切です。
インフルエンザインフルエンザウイルスによる感染症で、突然の高熱、体のだるさ、関節の痛みが特徴です。のどの痛みも初期症状としてよく見られます。症状が強い場合は、抗インフルエンザ薬を使うことがあります。
喉頭炎・声帯周囲炎ウイルスや細菌感染によることもありますが、それ以外でも声を出しすぎたり、風邪やタバコの影響で、のどの奥(声帯あたり)が炎症を起こすことでも発症します。のどが痛い、声がかすれる、咳が出るといった症状が現れます。症状がひどいときは、耳鼻咽喉科で専門の診察が必要です。
溶連菌感染症溶連菌(溶血性レンサ球菌)という細菌が主にのどに感染しておこる病気です。38℃以上の発熱や強いのどの痛み、扁桃腺が腫れて膿がつく、首の前側のリンパ節が腫れるといった症状が出ます。リウマチ熱や糸球体腎炎などの合併症につながることもあるため、抗生剤をきちんと飲んでしっかり治療をする必要があります。
アレルギー性鼻炎花粉やホコリなどにアレルギー反応を起こし、鼻水やくしゃみが出る病気です。のどにも影響が出て、腫れたりイガイガしたりすることがあります。風邪とは違い、熱はほぼ出ません。

のどの痛みは、一見軽い症状に思えることがありますが、放置すると重症化する病気が潜んでいる可能性もあります。症状が長引く場合や、発熱や全身症状を伴う場合は、早めに医師の診察を受けることをおすすめします。

『のどの痛みをやわらげる方法は?』診察室でよく聞かれる質問に答えます!


ここからは、のどの痛みの対処の仕方を診察室でよく聞かれる質問にお答えしながら解説します。

Q1. のどが痛いのですが、すぐにできる対処法はありますか?

A. のどの痛みを和らげるためには、以下の対処法が有効です。

  • こまめな水分補給(乾燥防ぐことで粘膜の保護機能を高める)
  • 加湿(室内の湿度を50~60%に保つことでのどの乾燥を防ぐ)
  • マスクの着用(外部からの刺激を軽減し、のどを保湿する)
  • のどを冷やさない(温かい飲み物やのど飴でのどを守る)
  • 禁煙・禁酒、なるべく声を出さない(のどへの物理刺激を減らす)
  • うがい(殺菌作用のあるうがい薬はかえってのどの粘膜への刺激となるため、抗炎症作用のうがい薬や食塩水・緑茶などでのうがいをおすすめします。水道水でも効果はあります)

Q2. のどが痛いときに食べるといい食べ物はありますか?

A. のどの痛みを和らげる食べ物としては、抗炎症効果のあるものや粘膜を保護するものが有効です

  • はちみつ:抗炎症作用と抗菌作用があり、のどの粘膜を保護する。
  • 生姜:抗炎症作用があり、のどの痛みを和らげる。
  • カモミールティー:抗炎症・抗酸化作用があり、のどを鎮静化する。
  • ヨーグルト:乳酸菌が免疫を高め、のどの炎症を抑える。

Q3. 逆に、のどが痛いときに避けたほうがいい食べものはありますか?

A. のどに刺激を与えるものは避けた方がよいです。

  • 辛い食べ物(唐辛子、スパイス):のどを刺激し、炎症を悪化させる可能性がある。
  • 炭酸飲料やアルコール・タバコ:のどの粘膜を刺激し、乾燥させる。
  • 硬い食べ物(せんべい、ナッツ類):のどに負担をかける可能性がある。
  • 酸味が強い食べものも、しみて痛みが強くなる場合は避けたほうが無難です。

まとめ

のどの痛みは、日常的なケアや食事の工夫でも改善が期待できます。水分補給や部屋の保湿、刺激物を避けることを心がけ、痛みを和らげる食材を取り入れることで、症状の軽減に役立ててください。また、症状が長引いたり悪化する場合には、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。
品川シーズンテラス港南口クリニックではのどの痛みをはじめ、風邪や発熱、胃腸炎、花粉症やその他生活習慣病などにも対応しております。レントゲン、心電図、超音波画像診断装置等を備えており、必要に応じた検査を行いながら患者さまの健康をサポートしています。気になる症状がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

参考文献

 監修医師

院長:濱本 貴子

徳島大学医学部卒業後、心臓血管外科・循環器科などで経験を積み、2015年に港区にて開業。高血圧・糖尿病・高脂血症・痛風といった生活習慣病をはじめ、風邪や胃腸炎、花粉症など、日常的な内科診療に幅広く対応している